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「日中両國の國益を踏まえて理解を深める」──前中國駐在日本大使?佐藤嘉恭氏に聞く

  |  2000-10-30

「日中両國の國益を踏まえて理解を深める」──前中國駐在日本大使?佐藤嘉恭氏に聞く。

タグ:日中,理解

発信時(shí)間:2000-10-30 16:21:12 | チャイナネット | 編集者にメールを送る
このほど、記者は前中國駐在大使?佐藤嘉恭氏を訪ね、中國に対する認(rèn)識(shí)や中日関係などについてうかがった。一九三四年に生まれ、一橋大學(xué)法學(xué)部を卒業(yè)して外務(wù)省に入省した氏は、英國、米國、香港に外交官として駐在したほか、大平正芳內(nèi)閣総理大臣秘書官、外務(wù)省経済局長、外務(wù)大臣官房長、OECD駐在日本政府代表部特命全権大使等さまざまな要職を歴任した。その間、外交官を務(wù)めながらオックスフォード大學(xué)に留學(xué)し、米ハーバード大學(xué)で研修した経験もある。一九九五年三月から九八年五月まで、中華人民共和國駐在特命全権大使として活躍し、離任後、豊かな外交生涯を終えた。中國は氏にとって、外交生活の最後の舞臺(tái)であるため、特に深い印象を殘している。以下はインタビューの內(nèi)容である。

 中國に対する印象と認(rèn)識(shí)

 記者中國駐在大使をお?jiǎng)?wù)めになる前から、中國の事はよくご存知だったでしょう。北京に行かれた時(shí)、中國に対し、どのような認(rèn)識(shí)をお持ちだったのでしょうか。

 佐藤率直に申し上げて、私は中國の事を知らないままに、中國へ赴任したのです。もちろん、外務(wù)省に長く務(wù)めていましたから、常識(shí)的な事は知っています。しかし、中國に対する深い理解や認(rèn)識(shí)は持っていませんでした。中國駐在大使に任命された時(shí)、いままで中國の経験がない人がなぜ中國に行くのかと、不思議がる人や批判的な聲もありました。私はそういうことを背中に背負(fù)いながら、中國に行ったのです。

 記者 それは相當(dāng)緊張されたでしょう。

 佐藤それはそうです。どこへ行くのにも責(zé)任がありますから、緊張感は免れません。とくに大きな國、中國に使命を持って赴任することに対して、特別な緊張を感じました。

 記者 ほかの國の人より日本人、特に年輩の日本人の中には、中國の古典や文化がお好きな方が多いようですね。

 佐藤そうかも知れません。しかし、中國には五千年の歴史がありますから、私には分からないことが多いです。もし、中國の事、中國の文化を手に取るように分かる方にお目にかかったら、畏敬の気持ちを持たずにはいられません。

 記者 三年間の中國駐在の體験についてお話していただけませんか。

 佐藤いろいろな事を勉強(qiáng)する機(jī)會(huì)になったと思います。日中関係というものは日本の対外関係の中で、最も重要な隣國関係です。それに関連していろいろと、日本ではなかなか理解しにくい事でも現(xiàn)場に身を置いて思考することができたので、私個(gè)人にとっては大変大きな財(cái)産になっております。

 また、中國滯在中、できるだけ各地を訪問する機(jī)會(huì)を逃さないように努力していました。殘念ながら、広い中國を全部回ることはできませんでしたが、あちこち旅をしてみますと、中國人の気持ちをだんだんと理解できるようになり、さまざまな分野で活躍している人々のことがよく分かりました。そして、中國の歴史を?qū)Wぶことができましたし、場所によって濃淡がありますが、日本と中國との結(jié)びつきが各歴史の過程の中で存在していることが強(qiáng)く感じられました。これは隣國中國との関係を考える上で、大きな財(cái)産になっていると思います。

 三年三カ月間の中國での任期中、日中関係にいろいろな事が起こったのは事実ですが、中國側(cè)も日本側(cè)も、各指導(dǎo)者や関係者が日中関係を発展させなければならないと、努力しましたので、両國関係は全般的にいい方向に向かい、いろいろな分野で発展したのではないでしょうか。

 日中両國の相違點(diǎn)

 記者 ご自分の目で見た中國について、特に深く印象に殘っていることがありますか。

 佐藤まず、生活風(fēng)習(xí)の面で日本と中國の似ているところが印象的でした。歴史的に溯ると、隋唐時(shí)代に、日本は中國からたくさんの文化を受け入れました。一年のこよみをたぐっただけでも、舊正月の祭りとか清明節(jié)など、いろいろ季節(jié)にちなんだお祭りが、われわれの身近な生活の中で、肌にピンと來るような感じで存在しています。

 他方、中國と日本はかつて、「同文同種」と両國関係を喩え、いまは「一衣帯水」という言葉をよく使っています。ところが、両國の人々の物の考え方や発想などは相當(dāng)違うと思います。中國人は長い歴史の中で、大陸的に育まれた考え方や発想をします。それに対し、われわれ日本人は「以心伝心」で物事を考えます。中國は五十六もの民族がある大きな大陸の國ですから、中國人同士の間では、考え方を伝えるのに「以心伝心」にはよらない社會(huì)だと思います。やはり物をはっきり言ってお互いの考えを訴えるわけですね。

 例えば、私も他の日本人も北京や上海の町で、中國人同士の喧嘩を見たことがあります。とちらも大きな聲で自分の主張を言い張り、それを囲りの人に聞かせる。しかし、ぜったい手を出さないんです。これを生活文化と表現(xiàn)すれば、われわれ日本人とは違います。日本社會(huì)でも「喧嘩っ早い」という言葉があります。特に下町の活きのいい人たちが喧嘩すると、すぐ手が出るわけです。

 こうした物の考え方や、相手との対話をどうすればいいかということは、日本と中國でかなり違います。ですから、中國人と日本人が一緒に仕事をする際、そんなはずじゃなかったという結(jié)果になって、時(shí)に爭いが起こることもあるわけですね。これがどこから來ているかというと、最初にきちんとお互いの話が出來ていないわけです。日本人は、そこまで話したんだから中國人は理解するはずだと思っている。ところが、「そこまで話した」という「そこ」がはっきりしないケースがあります。これはやはり日中の文化の違いだろうと思います。

 しかし、両國には長い交流の歴史がありますから、非常に通じているものもあると思います。日本は昔、中國から漢字や仏教などたくさんの文化を?qū)Wんで、われわれ文化の根っ子を作ったのです。両國の文化の根っ子は同じだと言えるでしょう。この意味で、日中間の大きな歴史の流れの中で、お互いの文化的交流は世界で誇り得る関係だと思います。

 中國経済への評(píng)価

 記者 近年の中國経済をどうお考えですか。

 佐藤すばらしいと思います。私が赴任している三年三カ月の間に、みるみるうちに、北京は大変近代的な都會(huì)になりました。上海などの都市も行くたびに、高速道路が出來たり、浦東の開発など著々と進(jìn)んでいます。ところが、経済のことですから、いろいろな矛盾が出てきたのも確かなことです。発展そのものの過程で避けては通れないものがありますから、中國もそれにぶつかると思います。これは日本も経験したことです。経済成長の環(huán)境の中では、取り殘される人々も出てきてますし、産業(yè)構(gòu)造もすべて順調(diào)に進(jìn)むわけではありません。特に中國の場合では、國有企業(yè)という非常に大きな問題を抱えています。これを市場経済の中にうまく組み入れていこうというのが改革のわけですからね。しかも、改革開放政策の下で、経済を?qū)澩獾膜碎_放しながら進(jìn)めてきたのですから、先進(jìn)諸國経済と中國の改革開放経済とが段々入り交じってくる。そこに政策上のいろいろ難しい問題が出てきていると思います。

 しかし、大きな流れを見ると、いまの江沢民?朱鎔基政権の、構(gòu)造的な問題を解決しようという意気込みは、賞讚されねばならないと思います。今度、中國はいよいよWTO(世界貿(mào)易機(jī)関)に加盟するので、改革開放政策はさらに進(jìn)むでしょう。実は、中國経済に対し、われわれ近隣諸國も歐米の國々も、順調(diào)に発展するよう望んでおります。

 日本の教訓(xùn)

 記者昔、日本は中國から文化を受け入れ、國の土臺(tái)を作りました。近代になって、歐米の進(jìn)んだものを?qū)Wび、段々と経済的成功を遂げましたが、そこに至るまでにはさまざまな経験をしたと思いますが。

 佐藤國が発展するときには世界のさまざまな先進(jìn)的なものを多く學(xué)び取りながら進(jìn)んでいくわけですね。日本は明治維新から対外的に開放し、當(dāng)時(shí)進(jìn)んだ歐米諸國に追いつこうという政策を取りました。それは國民の生活を豊かにしようという考えと、列強(qiáng)諸國の爭いが激化する中で國を強(qiáng)くしなければならないという考えにもとづいたものです。しかし、不幸にも、日本が強(qiáng)くなると同時(shí)に、軍事力も強(qiáng)くなり、とうとう軍國主義に走る誤りを犯すに至りました。戦後、日本はその誤りに対する認(rèn)識(shí)を踏まえて、平和、自由な民主主義國家に生まれ変わったわけです。

 中日関係を支える経済協(xié)力

 記者日本はアジアでいちはやく近代化を達(dá)成し、二十世紀(jì)後半、戦後の廃墟の中から急速にめざましい発展をとげ、世界先進(jìn)資本主義諸國の隊(duì)列に入るに至りました。ところが、二十世紀(jì)の最後の二十年間、アジア、特に東南アジアの國々や韓國は急成長の道を歩み、歐米で二百年かかった経済成長の過程を、ほぼ一世代で成し遂げました。昨年の一人當(dāng)たりの國內(nèi)(あるいは域內(nèi))総生産(GDP)によると、韓國は一萬五百五十ドル、香港は二萬五千二百ドルに達(dá)し、シンガポールは三萬二千八百ドルを超え、ほぼ日本と伯仲するぐらいです。また、マレーシア、タイも成長の道を歩みました。このほか、中國はこの二十年、改革開放政策を必死に進(jìn)め、問題を抱えながらも、経済的な高度成長を続けてきました。こうしたことを背景に、中國と日本との関係をどうお考えですか。

 佐藤日中関係についていろいろな角度からとらえることができますが、先に申し上げたように、日本にとっては、世界各國との関係の中で、日中関係は一番重要なものの一つだと思います。私はいま政府の立場から離れましたが、政府のみならず、日本の経済界、文化界あるいは學(xué)界の交流は非常に重要な基本的なことだと思います。その基本を踏まえる時(shí)に、日本として、忘れてはならないのは、過去の誤りを繰り返してはいけないことです。それはわれわれ日本の問題として、きちんと認(rèn)識(shí)しなければなりません。

 一方、中國の改革開放は今後、ますます諸外國との協(xié)力を必要とすると思います。その中で、日本との関係をもっと大事にしなければならないでしょう。

 はっきり言うと、國と國との関係というものは、當(dāng)然自分の國の利益になることを考えるわけですから、日本にとっても、それが利益だと感ずれば、中國との経済協(xié)力を強(qiáng)めていくでしょう。中國も日本との経済関係を強(qiáng)化することは中國の國益にかなうと考えるならば、どうしても日本との協(xié)力が必要だと思います。

 日中國交正?;槿杲摔胜辘蓼工?、その中で、一番重要な架け橋になっているのは日中間の経済関係だと思います。これは數(shù)字により証明されています。日本にとって、中國はアメリカに次ぐ大事な貿(mào)易パートナーです。中國にとっても、日本が最も重要な貿(mào)易パートナーです。直接投資の分野でも、お互いに大事なマーケットになっています。とりわけ、日本は、多額の経済協(xié)力をODA(政府開発援助)という形で、中國に対し行っています。こうした両國関係における経済分野の占める割合は、誰の目にも明らかだと思います。

 経済協(xié)力を発展させる余地は、これからもあると思います。単純な貿(mào)易だけではなく、テクノロジーの移転も、情報(bào)産業(yè)も経済の主流になってくると考えます。この意味で、貿(mào)易、投資、技術(shù)協(xié)力?移転、科學(xué)分野、そして中國の経済発展に伴う環(huán)境問題など、いろいろな協(xié)力が両國間で進(jìn)んでいくでしょう。日本の環(huán)境保護(hù)技術(shù)は世界に誇れるものがありますから、中國にも大きく役に立つことができると思います。経済分野の協(xié)力と環(huán)境分野の協(xié)力は両國にとって、非常に重要な橋になっています。両國の國益から考えると、今後も両國の関係はますます発展していくでしょう。

 このほか、両國関係を支える上において、お互いの立場や考え方を理解することは、ますます肝心なことになると思います。中國が段々と経済的に豊かになっていく今、何がわれわれと中國との関係を支えるかと考えれば、やはりお互いに理解し合い、尊重し合うことではないかと思います。お互いに相手の気持ちと文化、立場を理解し合い、尊重し合うことこそ、大切なことだと考えます。

 現(xiàn)実を踏まえて

 対話と理解を深める

 記者近年、中國と日本の間には、確執(zhí)や不愉快なことが出てきましたが、ともにアジアに位置する二つの重要な國、また歴史と文化の源をともにする隣人同士である中國と日本が、どのようにこれらの問題を解決し、あるいは乗り越えるかは、両國の國益にかかわるだけではなく、アジア地域の平和、安定にも及ぶと思いますが、われわれ両國はどういう姿勢で現(xiàn)実的な問題に対処すべきかについて、先生のご意見をお聞かせ願(yuàn)いたいのですが。

 佐藤私は中國人からよく、「現(xiàn)実を直視する」という言葉を耳にします。つまり、現(xiàn)実の客観性を認(rèn)めるわけですね。この言葉の中に、哲學(xué)とも言えるものが含まれていると思います。非常に現(xiàn)実的な立場を踏まえる考え方だと、評(píng)価したいです。それによって、乗り越えられる事や問題がまだまだあると思います。日本と中國の現(xiàn)実から言えば、體制が違うため、政治、経済や生活環(huán)境、価値観にはかなりの差があります。違いがあるからこそ、雙方が理解を深めなければなりません。

 歴史認(rèn)識(shí)を例に挙げると、日本の若い世代が日中関係における不幸な戦爭の歴史をどのように正しく認(rèn)識(shí)するかは、教育問題としてありますが、現(xiàn)時(shí)點(diǎn)において、日本人の多くは誤った歴史に対して認(rèn)識(shí)を持っています。きわめて少數(shù)の極端な意見や右翼の者が存在することは否定できませんが、それは中國の言葉で表現(xiàn)すれば、けっして主流ではありません。つまり、われわれ日本國民を代表することはできません。長い間、日中関係をりっぱにしょうと、汗水垂らしてきた人たちの気持ちと日本の大部分の國民の気持ちを汲み取っていただきたいと思います。ですから、さきほど申し上げたように、お互いの體制が違うということを認(rèn)識(shí)した上で、問題を処理していくことが大事なことです。

 例えば、歐米で言われる人権問題は私の目から見れば、事実は中國の方でもさまざまな政策を展開していると思います。中國の置かれた立場を考えた上での人権問題の捉え方です。私どもも中國の置かれている情況について、理解を深めていかなければなりません。実はアメリカにも、アフリカにも、どの國にも人権問題が存在しないわけではありません。要するに、現(xiàn)実の情況を踏まえた上で、その実情に即した現(xiàn)実的な措置を行うことが大切だと思います。

 私は日中間においてもっとお互いの立場で、それは政府だけでなく、國民レベル、あるいは知識(shí)人レベルでの対話を行い、過去の歴史に対し、戦爭を繰り返してはいけないという認(rèn)識(shí)の上で、対話を進(jìn)めることに意義を見出しながら日中関係を豊かにしていくことが非常に大事だと考えます。われわれはほんとうに中國のことで分からないところがたくさんあります。だからこそ、虛心坦懐な心の交流が必要なのだと思います。そこから相互理解が生まれると思うのです。日中関係はそういう時(shí)代に入ってきていると考えます。

 このほか、私が三年三カ月務(wù)めていた間に起こった変化だと思いますが、日中関係が日本と中國の関係に限定された時(shí)代はもう過ぎたのです。もっと世界的な問題として、チェチェン、コソボ、アフリカ、アジアの経済問題など、周囲で起こっていることについて、お互いに理解を深め合うということが求められる時(shí)代に入ってきていると思います。そういう意味で、日中関係をもっと成熟させる方向に発展させてほしい。私は中國の方々に會(huì)う機(jī)會(huì)が多くあります。日本について、いろいろと批判や意見を言っていただくのは構(gòu)わないのですが、大事なことは、前を見て議論をするということです。そのための大前提として、日本は過去の歴史をきちんと認(rèn)識(shí)しなければなりません。それを踏まえて將來に向けて、両國と両國民にとってもっと大きな利益になることをやるべきだと思います。

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