毎年の年末になると、中國社會科學院社會學研究所は「中國の社會情勢の分析と予想」という青書を編集?出版し、過去一年の社會情勢を分析し、翌年度のそれについて予想を提示することになっている。今年出版された青書は、2002年における中國の社會情勢には下記の七つのすう勢が現われると見ている。
一、中國共産黨の「十六回大會」の開催は重要な政治的意義をもつものである。
2002年後半に、中國共産黨は第十六回全國代表大會を開催することになっている。これは1949年に中國共産黨が政権黨になってからの九回目の全國代表大會で、20世紀70年代末に中國社會が改革?開放の段階に入っていらいの五回目の全國代表大會であるとともに、21世紀に入ってからの初めての全國代表大會でもある。「十六回大會」では、國の今後の一時期の発展と社會?経済の諸事業の発展における基本政策?方針を打ち出し、確認することになっているが、これは國の政治生活の重要な出來事である。これまでと同じように、社會各界の人々は中國共産黨のこの大會の開催およびそこで策定される新しい方針に大きな期待を寄せている。
注目しなければならないのは、來年後半に開催される中國共産黨の「十六回大會」は、政権黨の理論の革新、政権黨の政権運営方式、作風と思想意識および関連體制、規範について積極的な改革が行われるということである。これは20世紀80年代中後期以來のこの種の改革プロセスの延長でもあり、政権黨が開放の新しい段階でより科學的に政権運営ができるよう、これまでの10數年間の経験と総括を踏まえてのこの改革は、よりいっそう系統的な、実効あるものになろう。政権黨が大きく変化する社會経済の現実に積極的に適応することは、國の政治、社會、経済生活に幅広い、大きな変化をもたらすに違いない。
二、経済の伸びは比較的速い勢いを保ち、社會情勢の健全で安定した局面を実現するための基礎を固めることになっている。
さまざまな研究の結果によると、世界の経済環境には數多くのマイナス要因が現われており、中國経済の運営環境も楽観視できず、國內経済の枠組みはマクロ的にもミクロ的にもたくさんの課題を抱えているにもかかわらず、2002年の中國経済は引き続き7%前後の成長率を維持すると見られている。権威あるエコノミストは、「當面の中國経済の現狀から見れば、今後ある時期におけるバランスのとれた経済成長率は7.8%である」としている。中央政府の2002年の経済運営における政策方針は、內需の拡大に努めると同時に、政策のプラス効果の最大化を図るため、諸政策間の関連性にもいっそう気を配ることになろう。
中央政府は、金融リスクおよびその他の分野のリスクの防止を経済運営の重點の一つとし、経済成長の質の問題を優先する政策テーマの一つとする。産業構造の調整やハイテク産業の促進、輸出の促進、農業の発展などに関する従來の政策テーマも重要な位置におかれ、経済情勢の変化の新たな特徴に応じて更に目的性のある一連の措置が打ち出されることになろう。
三、黨風および社會道徳?気風の問題が更に広く注目される。
2001年9月と10月に、中國共産黨中央は政権黨の黨風建設と國民のモラル建設に関する二つの重要な通達を相前後して出した。これは黨の綱紀と社會道徳に関する長年來の思考と実踐による総括である。この二つの通達の重要性はさまざまなマスコミに幅広く取り上げられ、2002年ひいては今後の一時期においてこの二つの分野の建設を強化するための基礎をつくり上げた。
政権黨ともっとも広範な人々とがもっとも密接な関係を保ち、長年來一部黨幹部の好ましからぬ黨風がもたらした、さまざまなマイナスの社會?政治的影響を徐々に解消するために、政権黨の黨風建設は制度の健全化と思想教育といった二つの面で強化される。
四、社會の安定と生活水準の向上に対する人々の期待が高まる。
開放の新しい現実に直面して大多數の住民はこれまで通り、社會の安定に大きな期待を寄せていることが、さまざまな調査で明らかになっている。仕事と生活環境の大きな変化とプレッシャーを意識しているからこそ、人々はいつも安定に対する期待を個人または家庭の発展に直接かかわる分野で具體化し、職業の安定や収入の安定、生活環境の安定がその主な內容で、國の政治、経済と政策の安定も大多數の住民が期待するところである。
2002年の重要なすう勢の一つは、人々が各方面で生活やその他の面でプレッシャーを実感しているため、収入増を通じてプレッシャーを防ぐ期待が特に強い。2002年の都市部住民の可処分所得は5.8%増、農民一人あたりの純収入は3.1%増の見込みで、都市部住民の所得の増加スピードは緩やかに低下し、農村部住民の収入の増加は極めて低いものである。都市部で、養老や醫療、子供の教育などの支出に対するプレッシャーは年を追って大きくなっていることが、さまざまな機構の調査で明らかになっている。中國の中央テレビ局と國家統計局都市調査部門が2001年に10の都市の住民を対象に行った調査によると、もっとも関心を寄せている三つのことは醫療改革、社會保障、失業?就業となっている。この三つのことはいずれも人々の生活のプレッシャーの増大と直接かかわりがある。さまざまな歴史的な、現実的な原因によって、このようなプレッシャーは一時期においては完全に解消することはできない。従って、期待を所得?収入の増加に寄せることは、大多數の住民にとって極めて自然的な選択で、政府の関係政策を評価するうえの重要なものさしともなっている。
五、諸分野の改革は更に促進される。
體制改革は2002年に更に積極的かつ慎重に推し進められ、改革の成果を打ち固め、その上で絶えず改革を深化することが重點になる。各分野の體制改革の政策措置間の協調性と関連性が極めて重要な位置におかれ、改革措置によって生み出される一時的なマイナスの影響を解消する作業も重大な関心を集めることが予想できる。
社會保障體制改革はスタートが遅く、進展が困難であるにもかかわらず、政府は2002年に関連の改革の促進に全力を挙げ、しかもその過程で各具體策を絶えず充実し、各地區にもっと多くの自主権を與えることになっている。沿海地區の一部省では、最低生活保障制度を徐々に農村地區に普及する試みがすでに始まっているが、経済が立ち遅れている一部地域では、既存の制度を実施するうえでまだ大きな困難に直面している。これについて、中央政府は地方の創意工夫を奨勵すると同時に、全體のバランスにも気を配っている。養老、失業、醫療、救済などの分野の改革の原則はだんだんと明確になってきているとはいえ、2002年に関係政策の実施の過程で資金の不足、新舊體制の過渡期の摩擦など一連の従來の課題や新しい課題にぶつかるに違いない。政府はこのような課題に真正面から取り組み、多くの面とかかわりのあるこの分野で改革の重要な突破を達成することが予想できる。
國有企業の改革は新年度に、さまざまな要因(とりわけWTO加盟後にもたらされるプレッシャーと促進力)の働きで極めて切実なものになっている。大型國有企業の総合競爭力は、さらに強力な體制とメカニズムの改革によって提供されるだけでなく、企業総數の93%を占める中小企業も、さまざまな弾力性のあるやり方で古い體制の束縛から抜け出る必要がある。新しい一年に、行政と市場の力がともに國有企業改革を後押しするエンジンとなり、とりわけ民間航空、鉄道、電力、電信、石油など獨占的性格の強い業種に対する改革を実施するには、かなりの程度において行政の力の後押し、関連政策決定の科學性と合理性のアップを必要としており、特に注目の的になろう。
六、WTO加盟は社會のよりいっそうの開放を促す。
2002年は中國の「WTO元年」で、関連法律?法規は次第に國際ルールと慣行に歩み寄ることになろう。その転換はある時期においてはそれほど顕在化するものではないが、しかし、それは新しいプロセスのスタートである。
このような開放構造は経済分野だけでなく、社會の各分野にも著しく現れてくる。國際ルールや慣行の逐次実施は、まず一部政府部門の職能転換に影響を與え、社會管理メカニズムの変動はこれによってもっと大きな原動力を得ることになる。新しい一年に、ルール意識の明確化、透明度の増大と住民の選択肢の増加は、多くの分野で最初の積極的な勢いを見せることになろう。社會生活分野の活性化の度合いが高められ、職業の選択、居住地の選択、出入國、法律援助、個人の生活面の期待という面で新しいタイプの関係が形成されることが斷言できる。
七、失業(一時帰休)問題は相変わらず政府と一部住民を悩ます厳しい問題である。
産業構造調整と國有企業改革は2002年に引き続き進められ、かなり多くの従業員が失業(一時帰休)になる可能性がある。向こう數年間は中國の農村労働力の供給のピークで、毎年857萬人の労働力が新規増加すると見られる。しかし、ここ數年のすう勢からみれば、それによって新たに出稼ぎに行く人々も600萬人以上増えることが予想される。一部都市の戸籍制度改革で農民を直接に都市部住民として吸収することも考えると、この人達はもし就職の口がなければ都市失業人口に仲間いりすることになるので、2002年の登録失業率の上昇も予想できる。
「チャイナネット」 2001年12月31日