林國本

最近、外出などで少し遠出することになると、よく交通渋滯に遭遇することになった。さいわい、あまり急ぐ用もないので、それほどあせることはないが、數回ほど、友人との會食で、「待てども待てども一部參加者が姿を現わさず、結局ホスト側がレストランの都合や、閉會の時間を考えて「見切り発車」を決めた。そしてとうとう、われわれが食べ終わった頃に、渋滯にひっかかった人たちが息をせききらせて飛び込んできた。卓上の話題は「経済の大発展はありがたいことだが、こう頻繁に渋滯が発生しては困るなあ」というようなことでもちきりだった。

さいわい、私はもう第一線から引退して、毎日あくせくして、出退勤をくり返す必要はないので楽だが、現役で頑張っている人たちの多忙ぶりを見ていると、同情に近い心境になる。

われわれの若い頃は、生活のリズムも今よりはスローテンポで、第一、出勤時にタイムカードを押すという「近代化」のシステムも導入されていなかったし、私はせっかちなので遅刻することはなかったが、堂々と遅刻して平気な顔をしている人もいた。タイムカードを押すことになると交通渋滯は「大敵」の存在となる。聞くところによると、早朝六時に家を出ている人もいるらしい。最近は、職場からかなり離れたところにマイホームを買っている人が多いので、この人たちがマイカーで出勤することになると、渋滯は不可避となる。