中タイ両國が先日「鉄道協力深化に関する了解覚書」に調印した。これは中國の鉄道産業の國際化とアジア橫斷鉄道計畫の重要な一歩である。そして中國の対外貿易の成長戦略が新たな段階へと入ったことを象徴する出來事になるかもしれない。まさにそのことが、李克強総理自らがタイに中國の高速鉄道を紹介することにつながったのではないだろうか。
豊かになるには、まず道を敷く。インフラ整備は一國の経済社會の持続的発展に欠かせない意義深い一環だ。國際競爭に遅れをとる國々は、インフラが立ち遅れているからではないだろうか。インドを例に挙げると、インドのインフラ建設はかつて中國に比べ遙かに進んでおり、鉄道建設も中國より31年先に始めている。中國は1984年になってようやく英領インドの第一次大戦前のレベルに達した。しかしその後の29年間、中國の鉄道は急速な発展をみせたが、インドの鉄道建設はほぼ停滯した。2000年、中國の鉄道総距離は6.9萬キロに伸び、インドは6.3萬キロであった。それが2010年になると、中國は引き続き9.1萬キロにまで伸ばしたが、インドは6.4萬キロに留まった。これに比例するように、インドの工業は中國と比べ大きく立ち遅れることとなった。ところが、歴史的にみては、インドの工業はかつて中國の遙か先を行っており、1949年當時のインドの粗鋼生産量は中國の9倍であった。
インフラ設備のボトルネックを突破することは、多くの新興経済體にとっての長年の願いであった。大規模なインフラ建設を展開し、先進的な技術を取り込む。その夢は多くの國が実現できずにいる。こうした現実は、中國の対外経済貿易に成長パターンの転換と、よりハイレベルな相互協力を実現するチャンスを提供しているのだ。中國は資本、技術、管理、設備を含むプロジェクトの一括請負方式の協力を通して、數十年かけて積み上げたインフラ建設のモデルと先進的技術を輸出し、自國の対外貿易の規模と効率を大きく向上させる。それに相手國もインフラ施設のボトルネックを突破し、持続的な成長を実現させ、さらには中國のような飛躍的な発展を遂げる可能性もあろう。
今年の國際経済は変化が激しく、中國の対外貿易の波も穏やかではない。先日発表されたばかりの今年9月の輸出額でも微減が見られた。我々は中國の「マーシャルプラン」で対外貿易と先進産業の突破を図らなければならない。かつての中國が國際市場の波の影響を一方的に受けるだけの存在であったとするならば、世界第二の経済大國、世界第二の貿易大國となり、そして世界一の外貨準備高を有する國となった今、我々は貿易パートナーの國內経済の振興を通じて自國の輸出を安定させるだけの力を備えるまでに成長した。アセアンは中國の多元的な地域経済統合戦略において、香港?澳門(マカオ)?臺灣に次ぐ重要な核心的地域であり、中國の「マーシャルプラン」は、まず中國-アセアンの相互交流の発展を優先する。當然、高速鉄道という中國の名刺はこの道を切り開くための最初の役割を果たすだろう。
もちろん、中タイの鉄道協力には多くの課題があり、支払いや融資、路線の選択など、引き続き交渉を詰めていかなければならない。協力における力関係が比較的強い立場にある側として、我々は多くの責任を擔うべきであり、ルール策定時にはコメと鉄道の交換の課題など、タイ側の需要を充分に考慮しなければならない。そしてそれ相応に、市場の參入規制の緩和とより高い所期収益が必要になる。最終的にはウィンウィン関係を実現していかなければならない。ひいては、中タイの高速鉄道協力を高速鉄道の対外輸出のモデルにしなければならない。(梅新育 商務部研究院研究員)
「中國網日本語版(チャイナネット)」2013年10月17日