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m.lbxysyl.com |01. 06. 2021 |
中國映畫市場コロナショックから生還、世界第1位に
3.新型コロナウイルスパンデミック下のOTT大躍進
新型コロナウイルスパンデミックによるロックダウンで、2020年中國春節(jié)の映畫市場は崩壊した。だが、この衝撃は、映畫上映における“革命”を引き起こした。當(dāng)初、春節(jié)に公開が予定されていたコメディ映畫『囧媽(Lost in Russia)』は、突然の新型コロナショックを受け、春節(jié)の封切りが見送られた。ところが、中國のIT企業(yè)であるバイトダンス(TikTokの親會社)がいち早く同映畫の上映権を6億3,000萬元(約107億円)で購入し、劇場公開されるはずだった2020年1月25日(舊正月の初日)に傘下のアプリで無料配信を行った。
映畫としての『囧媽』は、劇場での興行収益は実現(xiàn)できなかったものの、バイトダンス傘下の「今日頭條(Toutiao)」、「抖音(Douyin:TikTokの中國國內(nèi)版)」、「西瓜視頻(Xigua Video)」、「抖音火山版(DouyinHuoshan Version)」の4つのアプリで、3日間で延べ1億8千萬人以上が視聴し、6億回以上の再生回數(shù)を達成した。結(jié)果として、バイトダンスは『囧媽』により自社傘下アプリに膨大なアクセスを得られた。
映畫やドラマの映像をインターネット上のプラットフォームで配信するモデルはOTT(Over The Top)と呼ばれる。代表的なOTTプラットフォームとして、海外では「Netflix」、「Amazon Prime」、「Disney+」、「Hulu」、「HBO Max」などが挙げられる。中國では「iQIYI(愛奇蕓)」、「テンセントビデオ(騰訊視頻)」、「Youku(優(yōu)酷))などがある。
バイトダンスは、斬新な映畫上映モデルを打ち立てた。製作費2億1,700萬元(約36.9億円)の『囧媽』は、劇場公開をスキップし、OTTで直接配信された最初の大作となった。
その後、ディズニーが2億ドル(約220億円)を投じて制作した超大作『ムーラン』も、劇場公開がないままOTTで直接配信されたことで、大きな話題を呼んだ。『ムーラン』は、2020年9月4日からディズニーのOTTプラットフォーム「Disney+」で配信され、2019年11月にオープンしたばかりの同プラットフォームに膨大なアクセス數(shù)をもたらした。
2020年12月4日、ワーナー?ブラザースは、2021年に公開される全17作品を米國の映畫館とOTTプラットフォーム「HBO Max」で同時配信することを発表した。これは映畫ビジネスのゲームチェンジを決定付けた。
2020年4月に公開予定だった『007/ノータイム?トゥー?ダイ』も2億5,000萬ドル(約275億円)制作費のメガフィルムとして公開が待たれていた。新型コロナウイルス禍で劇場公開が幾度も延期される中、2021年5月26日、突如アマゾン?ドット?コムが、007シリーズを制作した映畫會社MGM(メトロ?ゴールドウィン?メイヤー)を90億ドル(8400億円)
の巨額で買収すると発表した。アマゾンは傘下にOTTプラットフォーム「Amazon Prime」(會員數(shù)2億人以上)を持つだけに、『007/ノータイム?トゥー?ダイ』がいつどのように公開されるのか、話題を呼んでいる。
コストのかかる超大作も、OTTと劇場の同時公開、あるいはOTTでの直接配信という時代に突入し、映畫公開におけるOTT戦略は、興行成績を左右するだけでなく、映畫製作會社の命運も左右する大きなファクターとなっている。
4.中國映畫市場が國産映畫を世界の興行ランキングの上位に押し上げる
2020年は、中國映畫の興行成績が非常に目を引く年であった。「Box Office Mojo」によると、2020年の世界興行ランキングで中國映畫『八佰(The Eight Hundred)』が首位を獲得した。また、同ランキングのトップ10には、第4位にチャン?イーモウ監(jiān)督の新作『我和我的家郷(My People, My Homeland)』、第8位に中國アニメ映畫『姜子牙(Legend of Deification)』、第9位にヒューマンドラマ『送你一朶小紅花(A Little Red Flower)』の中國4作品がランクインした。また、歴史大作『金剛川(JingangChuan)』も第14位と好成績を収めた。中國映畫市場の力強い回復(fù)により、多くの中國映畫が世界の興行収入ランキングの上位にランクインした。
2005年以來、中國における映畫興行収入に占める國産映畫の割合は50%から60%の間で推移していたが、2020年には一気に83.7%まで上昇した。
この20年、中國の映畫興行収入は急増している。2005年の20億5,000萬元(約349億円)から2019年の642億7,000萬元(約1兆926億円)まで、映畫の興行収入はこの間に31倍となっている。新型コロナウイルスが効果的に抑制されたことで、中國の映畫興行収入は2021年にはさらに上昇すると期待される。世界最大の興行市場の支えで、中國制作映畫は輝かしい時代を迎えるだろう。
「中國網(wǎng)日本語版(チャイナネット)」2021年6月1日