陳言=文
「中國では7億人に上る農(nóng)民が都市住民になっていくだろう。これは、ASEAN、インド、ラテンアメリカなどと合わせると、30數(shù)億の農(nóng)民が都市住民になっていく中の一部分にすぎない」と上海萬博テーマフォーラムで経済學(xué)者の樊綱氏は発言したが、中國內(nèi)外から參加したパネラーの誰もが、しばらくはコメントの言葉もなく、この「七億人」という數(shù)字の大きさをかみしめているようだった。
上海の人口はすでに2千萬人を上回っている。未來都市について、ドイツから何が學(xué)べるかという記者の質(zhì)問に対して、フォーラムに出席したドイツの元副首相は、「私の住む都市には340萬の人口しかない。それより人口の多い都市の未來については、私のほうが學(xué)びたい気持ちでいっぱいだ。とてもアドバイスなどできる立場にない」と肩をすくめ、両手を広げて「ノーコメント」の動作をして見せるのが精一杯だった。
交通などのニーズに伴うエネルギーの大量使用、上下水設(shè)備やごみ処理施設(shè)の差し迫った必要、災(zāi)害に対する備えなど、都市化に伴って発生する問題は少なくない。日本にも2千萬の人口が一つの自治體に集中してしまうケースはないが、それでも都市化に伴って必要になるノウハウ、とくにアジアの國々にとって役立つノウハウを日本はたくさん持っている。両國の政治経済関係が良好で、國民間の相互理解が進(jìn)むなら、そのノウハウは中國でもスムーズに応用できるはずである。
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今年の5月12日??5?12防災(zāi)の日?に上海市では25萬戸の家庭に無料で防災(zāi)セットが配られるなど防災(zāi)知識の普及が進(jìn)められた(東方IC) |
共青城でスマートコミュニティの実験
今年、日本の新エネルギー?産業(yè)技術(shù)総合開発機(jī)構(gòu)(NEDO)北京事務(wù)所の後藤雄三所長は江西省九江市にある共青城開発區(qū)に何度も足を運(yùn)んだ。そこでスマートコミュニティの実験をするためだ。
中國では産業(yè)における省エネが重要かつ緊急の課題になっており、省エネ設(shè)備の需要が高いが、一方で、都市化が進(jìn)み、ビル、商業(yè)施設(shè)の省エネや交通システムの近代化などのための新しい需要も高まってきている。さらに水関連の環(huán)境分野でも先端技術(shù)に対するニーズが大きい。
「都市建設(shè)に合わせて、スマートグリッド化を進(jìn)め、電力を高効率に制御していく新しいシステム、しかも発電だけでなく、送電、電力消費(fèi)まで含むスマートコミュニティづくりの技術(shù)を開発したい。実現(xiàn)の可能性を探るため、共青城市で実験を行っています。それで、今年に入ってから何回も調(diào)査に行ってきたのです」と後藤所長は明かす。
これまでは、日本の先進(jìn)的な技術(shù)を中國に移転し、モデル?プロジェクトを立ち上げてから、その後で中國國內(nèi)で関連技術(shù)を普及していく方式を取ってきた。省エネ技術(shù)、太陽光発電技術(shù)などのクリーンエネルギー技術(shù)がそうだった。「そうした技術(shù)協(xié)力は、私が知るだけでも六十件は下らないでしょう」と後藤所長は言う。
しかし、ここ數(shù)年、プロジェクト推進(jìn)のやり方に変化が見られる。中國のニーズに合わせて、そのための技術(shù)開発をしながら、関連の先端技術(shù)を日本から移転するようになってきているのである。新技術(shù)を取り入れ、スマートコミュニティづくりを進(jìn)め、投資環(huán)境を整えてから、中國國內(nèi)、あるいは日本などの外國からの投資を誘致するという形である。
スマートグリッド、またスマートコミュニティについては、他の國ではたいてい企業(yè)が中心になって構(gòu)想し、その実現(xiàn)を推し進(jìn)めている。中國の大都市では果たしてひとつの企業(yè)でそうした構(gòu)想?実現(xiàn)が可能かどうか、私には確信がない。NEDOは従來の単なる技術(shù)移転、技術(shù)普及の方式を改め、新しいモデル?プロジェクトに変更して、中國の地方政府と協(xié)力する形を模索しているようだ。新技術(shù)の実際の効果を見てから、それを全中國に普及させていく方法である。北京郊外の延慶県では、県政府との間で、太陽エネルギー発電関連の技術(shù)提攜がこの方法で推し進(jìn)められているという。
都市化が急速に進(jìn)む中國では、日本の都市関連の省エネ技術(shù)、環(huán)境技術(shù)はこのような新しい方法で普及していく可能性が高い。
都市防災(zāi)に日本のアイデアを
新しい都市が次々と誕生し、既存の都市が巨大化していくなかで、日本の都市防災(zāi)システムは、中國にとって非常に參考になるはずだ。
ジェイコム(JCOM)國際會展(北京)有限公司の取締役會長である難波哲明氏は、展覧會やイベントのプロだが、2011年西安世界園蕓博覧會の特別顧問として中國各地や世界各國を飛び回っている。中國各地を回るなかで、行く先々で都市化が急速に進(jìn)んでいることを肌で感じるという。
「中國のどこの都市でも高層ビルがどんどん増えているが、最近はビルとビルの間に緑地を設(shè)けたり公園をつくるケースも多い。私はそれを見て、緑地や公園に近隣の住民のために數(shù)週間分の水や非常食を蓄えておく施設(shè)を付設(shè)すべきだと地元の地方政府の役人にアドバイスするのが常です」と難波氏は言う。
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陳言 コラムニスト、『中國新聞週刊』主筆。1960年に生まれ、1982年に南京大學(xué)卒。中日経済関係についての記事、著書が多數(shù)。 |
「上海では都市をテーマに萬博が開かれているが、日本の都市では危機(jī)管理がどのように行われているのか、それも來場者に知らせるような配慮もほしい」と難波氏は願う。
都市化のテンポは加速度的に速くなっていく。7億人の農(nóng)民が都市住民になることによって、中國には人口百萬人規(guī)模の都市がいくつ誕生するかといった設(shè)問ではなく、人口1千萬を超える都市が、2020年までにいくつ出るかるかで考えたほうが現(xiàn)実味があるかもしれない。具體的に言えば、人口94萬人の広東省汕頭市、99萬人の山西省大同市の現(xiàn)実よりも、現(xiàn)在中國には44の都市が人口1千萬人を超えているという現(xiàn)実を重視すべきである。
シルクロードの要衝として栄えた樓蘭は、砂漠の中にその痕跡を殘すだけである。中原から樓蘭へ、さらに西域の奧深くまで數(shù)千キロ以上も連なるシルクロードに沿って栄えた古代都市はなぜ消えてしまったのだろう。百年、千年の歴史に耐えられる都市を建設(shè)するためには、その省エネ、環(huán)境、防災(zāi)などの都市要素を一つ一つ丹念に考慮しなければならない。日本の関連技術(shù)、防災(zāi)體制などから中國が學(xué)ぶ必要は少しも減少していないことを強(qiáng)調(diào)しておきたい。
人民中國インターネット版 2010年10月