大陸部と臺灣地區との自由貿易協定(FTA)に相當する「経済協力枠組み協定(ECFA)」が先月29日、重慶市で正式に調印された。これに受けて日本の経済界関係者の間では、両岸のECFA調印後、大陸市場における臺灣企業の競爭力が向上し、日本企業の競爭力がそがれるのではないかとの懸念が広がっている。「中國証券報」が伝えた。
▽日系企業の競爭力が制限される可能性も
日本のある大手電気機械メーカーのトップによると、日本の電気機械産業と大陸部、臺灣地區の関連企業との間で構築された委託生産関係が、今後は競爭関係へと変化する可能性がある。価格競爭力を備え、巨大な市場を擁する大陸部企業と技術力を備えた臺灣企業とが強力なタッグを組むことになり、日本企業は世界市場でより劣勢に立たされる可能性がある。
日本の石油化學産業界が懸念するのは、ECFA調印後に臺灣企業の競爭力が高まり、日系企業が一層不利な立場に追いやられるということだ。日系企業は大陸部市場でかねてより臺灣企業と熾烈な競爭を繰り広げてきた。また今回のECFA調印により自動車部品も関稅引き下げの対象となったことが、大陸部で生産を加速させる日系自動車メーカーにとってマイナスになる可能性がある。
とはいえ、ある業界関係者が指摘するように、両岸がECFAを調印したことは日本にとって少しの利點もないわけではない。たとえばコンピューターなどの電子部品をみると、臺灣で生産されたコンピューターの多くは日本で生産された部品を使用しており、ECFA調印後に臺灣製コンピューターの大陸部市場における価格競爭力が一層強まれば、日本の電子部品メーカーも間接的に利益を受けることになるのだ。