私にとってはこの経験が、「人生で何がしたいんだろうな」と思うきっかけになりました。大學を出て総合職で保険會社に入って東京勤務になって順風満帆でした。バブルだったし、待遇も良かったし、恵まれてはいましたが、心のどこかに空虛感を感じていて、人生の軸みたいなものを求めていたときに地震が起きたんです。目の前にチャンスはあるけど、これが本當に私のしたい仕事なのかなって疑問を持ちました。
いろいろ考え、中國に行ってみたいなと思いました。大學時代に、神戸港から船で福建省に行って中國を旅行したんですが、それがおもしろくて、大陸に引かれていました。中國の人はどうしてこんなにエネルギーがあるんだろうって。それで一時、中國語をちゃんと習おうと思って、働きながら毎朝中國語教室に通っていました。
親はせっかく會社に入って昇格試験も受けて、これから將來有望なのにと悲しかったみたいですが、「1年で帰ってきます」って約束して、會社を辭めました。1年のつもりだったのがもうずっといるんですが???。
阪神大震災がきっかけで、日本を飛び出してみてどうでした?
新鮮でしたが、いろんな現実も見えてきました。留學生活だけでは物足りなくて、自分は働いていた経験があったし、自分の同世代の人と交流してみたいなと思って、北京に行って2ヶ月ほどして友達の紹介で北京外國語大學で日本語の先生のアルバイトを始めました。それがきっかけで、いまだに交友がある友達もいます。いろんな生徒さんがいて、中國語を勉強しながら1年間日本語を教えました。