また、夫婦の育った環境による価値観の隔たりや、現代中國のかかえる都市?農村間の格差、都會での貧富の格差などの問題もさりげなく描かれており、今の中國の人々の生活に根ざした作品である。それゆえに、等身大の物語として中國の読者に広く親しまれたのではないだろうか。日本人が中國を理解するためにも最適な読み物と言える。
本書の訳者の一人、陳建遠(ちん?けんえん)さんは、北京生まれで日本在住歴22年の主婦。もともと王海鴒の作品のファンだったが、北京に帰省した際に本書に出會い、翻訳を思い立った。「人間関係の心理描寫の鋭利?精緻さは、現代作家の中でも抜群。彼女の本が日本の方々にも読まれ、中國のことを一層わかっていただきたい」と本書の「あとがき」で語る。共訳者の加納安實(かのう?やすみ)氏とは日本語教室を通して知り合った。元朝日新聞記者の加納氏が陳さんの訳文に磨きをかけ、灑脫でテンポのよい日本語に仕上がった。
本書の日本語版には、原作者である王海鴒も序文を寄せている。出版元の日本僑報社では、ベストセラー作家?王海鴒の作品が、新たな日本の読者を獲得できるかどうか、期待をこめて見守っている。
「中國網日本語版(チャイナネット)」 2014年1月8日