アジアインフラ投資銀行(AIIB)創設メンバーの申請は、3月31日で締め切りとなる。海外メディアはAIIBの誕生を、「國際金融界の地震」と稱している。
AIIBの誕生が「地震」であるのは、これが現代史において初の開発途上國主導の、世界的な視野と枠組みを持つ地域開発銀行であるからだ。既存の世界金融構造のみならず、世界の政治?金融の観念にゆらぎが生じる。そのため創設メンバーの申請の過程は、決斷?遅疑?靜観?転向などの政府の動きと政治的雰囲気を凝縮し、大きな話題となった。特に英國、フランス、ドイツなどの歐州諸國が積極的な意欲を示すと、経済?金融大國の日本など一部の國の「仲間はずれ」が際立つようになった。
日本経済新聞の最新の報道によると、日本政府は24日、AIIBの加入決定を3月末以降に先送りする方針を固めた。この報道が事実であれば、安倍政権はAIIB創設メンバーになるつもりはないことになる。
異なる角度から日本を観察すると、その複雑な心境を目にすることができる。日本は當初、AIIBを疑問視し排斥する態度を示していたが、他國が相次いで加入を表明すると曖昧な姿勢を示し始めた。今や意見の食い違いが生じており、業界內では加入を急ぐべきだと考える人も少なくない。極右分子?石原慎太郎氏の息子である石原伸晃元環境大臣は26日、AIIBに早期加入すべきと日本に呼びかけた。日本は柔軟な外交方針を取るべきであり、中國が隣國にして世界2位の経済大國であるという事実をはっきり認識すべきだというのだ。石原氏はこの點に関しては頭が冴えており、多くの頑迷な政治家よりもマシと言える。AIIBはその性質と目標により、提唱當初から歓迎されるべきだった。これを疑問視し、排斥し、拒もうとするのは、後ろ暗い対抗の心理によるものだ。
世界には世界銀行が、アジアにはアジア開発銀行がある。アジアは世界発展の重要な原動力を生む地域であり、アジアの開発途上國はインフラ整備を急務としているが、大量の資金が不足している。より多くの銀行がこれを支援できれば、當然ながらそれに越したことはない。中國は最も主要な出資國であり、その巨額の外貨準備高から資金を提供することは、當然ながら良いことだ。
AIIBの本部は中國に設置されるが、その理念は開放的?寛容的?透明的である。AIIBは多角的な金融機関だ。もしAIIBが一方的だと懸念するならば、疑問を呈し加入を拒むのではなく、責任を持って加入しその多元性を高めるべきだ。
本件は日本の外交の問題を露呈した。日本がAIIBとの間に距離を置く理由には、國益の他に外交の目論見がある。歐州とアジアの先進國が相次いで加入を宣言したが、日本は當初これが予想外だったはずだ。日本は近年、歴史などの問題により周辺諸國と膠著狀態に陥っており、外交面の依存度を高めている。この一方的な習慣は、外交の判斷ミスを招いている。根本的に論じると、この問題は元外交官の天木直人氏が指摘した、日本の外交政策の「外に強く內に弱い」という性質にある。これは「獨立性」の不在に根ざしている。天木氏は大國の構造において、中米新型大國関係の構築には、多くの積極的な要素が存在すると判斷している。米國はAIIBの問題で開放的な姿勢を示し始めている。米國が國益を重視し、中米の「共同の利益」を宣言通りに模索し、AIIBの設立と発展を歓迎すると表明する可能性は、中米の高官の交流によって高まりつつある。そうなれば日本はどうするべきだろうか、仲間はずれになるのだろうか?(筆者:夏文輝 國際問題専門家)
「中國網日本語版(チャイナネット)」 2015年3月30日