文字が書かれているのかも分からない、この一枚の白い紙を見(jiàn)て、誰(shuí)もが胸がつぶれる思いがすることであろう。光にかざして角度を変え、よく見(jiàn)ると、かすかに筆跡のようなものが見(jiàn)て取れる。新華社のウェブサイト「新華網(wǎng)」が伝えた。
これはペンで書かれた筆跡ではなく、細(xì)い木の棒のようなもので描かれたものだ。それは、家族に宛てた遺言のようなものであった。
四川大地震において被害が著しかった北川県。北川中學(xué)の教師が、この白い紙を我々に見(jiàn)せてくれた。居合わせた人々から、なぜペンで書かれていないのかなどの疑問(wèn)はあがらなかった。
これを書かれた時(shí)の情景は想像に難くない。あの恐ろしい地震の様子が脳裏によみがえってくる。これを書いた犠牲者は、倒壊した家屋の狹い空間の中で、重傷を負(fù)っていたためか、死を覚悟してか、家族に何か宛てようと、身近にあった木の棒で、このような手紙をしたためたのだ。
紙の上に書かれていた文字をたどると、「姜棟懐、高校1年生1組。父さん、母さん、ごめんなさい。2人ともどうか幸せに」と書かれている。
我々の問(wèn)いかけに対し、その教師はうなずき、「その名の男の子は実在する。この手紙は遺體安置所から見(jiàn)つかったものだ」と述べた。我々は何も言えなかった。
男性記者らは、目をそむけ、手の甲で鼻をすすりあげる振りをした。女性記者らは、口を手で押さえその場(chǎng)を去った。
その教師は、この手紙を大切そうに懐にしまった。彼はこの手紙を、姜棟懐の家族に手渡すつもりだ。
「人民網(wǎng)日本語(yǔ)版」2008年5月21日