南中國海は大舞臺のように、周辺各國だけでなく米日印露(最近は歐州も関心を寄せ始めた)など「大物」も引き寄せている。南中國海の混亂局面を処理するには、まず大きな対立を幾つか整理し、明らかにする必要がある。(文:庚新?JCC新日本研究所副所長。「環球時報」掲載)
まず、中米間の対立。米國は表面上は居丈高に見えるが、実は守りのために攻勢を見せている。米國の突きつける具體的要求は、全て覇権維持のためという一點に盡きる。米國は中國を次の挑戦者と見なし、「限定的紛爭」を特徴とする「南中國海カード」を入念にデザインしているのだ。米國はどの國にとっても非常に敏感な領土紛爭に手をつけることで、もめ事を起こすが、中國との本當の正面対立は避ける。臺灣地區や朝鮮半島など中國の核心的や準核心的利益には觸れないし、日米安保など軍事同盟を土臺に中國の比較的手薄な「戦略的曖昧區」の南中國海を押え、武力を行使することもない。
次に、中國と日本やインドという大國との対立。日印はアジア協力圏の建設において共に中國と主導権を爭う地域大國で、共に中國と不愉快な歴史の記憶を持ち、共に中國と似た領土係爭を抱えると同時に、経済面では共に中國と緊密な依存関係にある。インドが自國のために介入しているのと比べ、日本は米國との共同歩調の色彩が濃い。もちろん米國と共同歩調をとるのも、地域における自國の戦略的利益にプラスとなるからだ。南中國海への日本の介入の本質は、東アジア全體の構造における自國の地位の追求にある。
第3に、中國とベトナムなど領有権主張國との対立。真の意味の南中國海紛爭はこれだ。この対立には3つの大きな特徴がある。第1に「2つの中心」。南中國海係爭のほとんどは主権の帰屬と資源開発という2つの中心的問題を同時に抱えている。主権の帰屬は通常ゼロサム的な爭いだが、資源開発は互恵?ウィンウィンが可能だ?,F狀から見ると、平和には主権爭いの棚上げが、発展には資源の共同開発が有利だ。そして両者間の良好な相互作用も完全に可能である。第2に「非対稱性」。中國と他の領有権主張國との間にはパワーバランスと関係構造に非対稱性が存在する。これら領有権主張國のほとんどは大國に虐げられてきた歴史を持ち、利害得失をよく理解している。そして往々にして大國の南中國海進出を左右する鍵も握っており、これが南中國海の情勢変動における最もデリケートな要素となっている。第3に「多様性」。ASEAN各國は各々獨自性が強く、一概には論じられない。
最後に、南中國海情勢の変動における大陸と臺灣地區との対立。実はこれも中國にとって、南中國海戦略の策定にあたり考慮を要する重要な要素だ。その本質は対外領土、特に臺灣の関係する地域(大平島など)に関わる際の両岸の互いの位置づけと連攜、両岸の敵対狀態の解除および平和協定と軍事関連の処理などに関わり得る。現在のところ両岸共に控え目に動いているが、かつての西沙諸島の戦いでの戦略的黙約と両岸の利益要求の共通性、および南中國海の資源の大きな魅力が、南中國海係爭に特殊な意義を與えている。これは南中國海への介入において日本などは想定不足の戦略的ポイントであり、われわれが南中國海全體の布石を検討する際の內部コントロール要素ともすべきものである。
「人民網日本語版」2011年12月12日