チュニジアの政変を発端とする西アジア、北アフリカ情勢の動揺には內因的側面があり、一度は西側の予測を超えた。だが短い躊躇の後、西側はここに戦略的利益の得がたいチャンスを見出し、情勢を自らの手中にしっかりとおさめることを決定した。
この背景を押さえれば、シリア問題における西側の立場を理解することも、次の行動を想像することも難しくない。シリア関連の決議案が國連安保理で頓挫した後、西側諸國はシリア政府への圧力を一方的に強化したうえ、安保理外で獨自のグループを設立する計畫も表明している。
口先では國連を尊重すると言いながら、実は國連など眼中にないのだ。安保理に出席して議論するのも、結局は體裁を整えるために過ぎない。望み通りに運べば、合法性の旗印を掲げ、思う存分に行動する。當てが外れれば、他國に汚水を浴びせ、すべき事は結局する。
「國連というものは存在しない。あるのは國際社會だけだ。そして國際社會は唯一殘った超大國によってのみ指導できる。つまり米國だ」と、米國のボルトン元國連大使は喝破する。
だが國連の地位は一部の人の考えで変えられるものではない。國連の創設が人類の生存と破滅に対する思索の結実であることをさておいても、國際システムにおいて國連の発揮する役割が今後重要性を増していくことは、世界の多極化という大きな趨勢によって運命付けられている。
安保理は國連憲章によって世界の平和と安全を守る使命を付託されており、その決定のみが法的拘束力を持つ。國連憲章は民主的な協議による一致の堅持という精神を提唱している。國連の発展の歴史を見ると、國連の権威を守るうえでもこれには極めて重要な意義がある。協議による一致なしに、國連の権威はない。
安保理を一部の國に好き勝手な行動を許すための形ばかりの「ゴム印」にはさせない。これは現代世界の平和と安全に対する責任であると同時に、世界の多極化の趨勢を守り、將來の一層理にかなった國際秩序をしっかりと構築するためでもある。
「人民網日本語版」2012年2月7日