石油輸出國機構(OPEC)とロシアなど非加盟の産油國でつくる「OPECプラス」が11月から原油を日量200萬バレル減産すると決定したことを巡り、米國內はこの數日、混亂に陥っている。バイデン政権は元々、中東の主要産油國が増産することで、原油価格の上昇が抑制され、國內のインフレ抑制に役立つと期待していたため、裏目に出てしまった。米政治専門紙ザ?ヒルは、OPECプラスの決定がバイデン大統領に外交政策の面で打撃を與えたと論じている。
米政府當局者はこの數カ月、エネルギー価格の上昇を抑制して安定させ、中間選挙までに高インフレを抑え込ませようと、國內外で積極的に活動してきた。しかし、OPECプラスの決定によって、米政府當局者のこれまでの努力は水泡に帰すとともに、民主黨の選挙情勢にも悪影響が及ぶ可能性が高い。
さらに重要なのは、米政府の外交が面目を失ったことだ。バイデン大統領にとって、7月のサウジアラビア訪問の重要な目的は、國內のインフレ抑制のためにさらに低い原油価格を求めることだった。米CNNによると、OPECプラス會合の數日前、米政府でエネルギー?経済?外交政策を擔當する高官は、関係國に対し、減産に反対票を投じるよう働きかけを続けていたが、失敗に終わった。
ある分析によると、中東における米國の戦略的縮小に伴い、サウジアラビアなど、この地域の大國の発言権がさらに増している。ロシアとウクライナの軍事衝突が勃発した後、中東産油國は、地政學的な行動余地がさらに大きくなり、これ以上米國に従うことを望んでいない。
CNNは9日付の論評で、OPECプラスの減産決定は「米國を傷つけた」が、これらの國々にもそれぞれの國益と戦略があり、米國の従屬國ではないことを、米國は認識すべきだと指摘している。
皮肉なことに、米國がOPECプラスの減産に怒りを表明した時、フランスのマクロン大統領は、エネルギー不足に陥っている歐州の盟友に天然ガスを高値で売りつける米國の行為は歐米の「友情の真髄」ではないと、米國に向かって叫んだ。
OPECプラスの減産が原油価格の上昇をもたらすと激しく非難する一方で、歐州の盟友に販売する天然ガスの価格を引き上げる。「アメリカ?ファースト」の身勝手さと橫暴さが余すところなく現れている。歐州理事會議長を務めたドナルド?トゥスク氏の「米國のような友人がいれば、他にまだ敵が必要か」という名言を思い出さずにはいられない。(CRI論説員)
「中國國際放送局 日本語版」より 2022年10月11日