文＝ジャーナリスト?木村知義 

　「質(zhì)の高い発展」、中國に関心を持っていらっしゃる皆さんは、最近、中國の指導(dǎo)者の言説で、あるいは中國から発表される文書などでこの言葉に頻繁に出會うことにお?dú)莞钉坤人激い蓼埂＝裨陇稀竵I會」、第14期全國人民代表大會（全人代）第２回會議と中國人民政治協(xié)商會議（全國政協(xié)）第14期全國委員會第２回會議が開かれますが、そこでも、多分この「質(zhì)の高い発展」という言葉に出會うことになると思います（執(zhí)筆時は両會開催前）。今號ではこの「質(zhì)の高い発展」について考えてみます。 

　中國に出掛けるたびに、目まぐるしく中國は「変わって」いきました。街を歩いていると、行き交う車も人もなにもかも、まさにうなりをあげているような錯覚に陥るぐらい、時代の歯車がすさまじい勢いで回る音が聞こえるような気がしたものです。

　成長、発展の中國は大きく様変わりして、當(dāng)時のことを話しても若い世代の人たちにはなんのことやら想像もできないだろうと思う社會のたたずまいになっているというわけです。

　時代はいま、さらに歩みを進(jìn)めて新たな段階に入ったと感じます。それが「新時代の中國の特色ある社會主義」を目指す時代だということでしょう。つまり、歴史を大きく俯瞰して言えば、新中國を誕生させて人民民主主義から社會主義を目指そうとした毛沢東時代、その試行錯誤と曲折を経て、「貧しいことは社會主義ではない」として生産力の発展に全力を傾注する決意をして改革開放の道をまっしぐらに突き進(jìn)んだ鄧小平時代。「絶対的貧困」を脫して「小康社會」へと歴史を進(jìn)めた一方で、都市とりわけ沿海部と內(nèi)陸、農(nóng)村との地域格差や社會の階層における格差、さらには改革開放、経済成長の過程で生じた副作用と言うべき腐敗問題に直面して、社會の「ひずみ」を正していく過程を経ながら、「共同富裕」という新たな高みを目指す、そんな段階に踏み入れたと理解すると、今の中國がくっきりと見えてくるのではないかと思うのです?！纲|(zhì)の高い発展」とは、こうした新たな歴史段階における重要な概念だという理解なのです。

　「質(zhì)の高い発展」は、２０１７年の中國共産黨第19回全國代表大會における報(bào)告で「わが國の経済はすでに急速な成長の段階から質(zhì)の高い発展の段階へと転換した」と指摘されたことに源を見ることができます。そして20年10月、中國共産黨第19期中央委員會第５回全體會議（五中全會）で、「わが國はすでに質(zhì)の高い発展の段階へと転換した」と指摘されました。一見ささいな表現(xiàn)の違いに見えますが、３年の間に、「質(zhì)の高い発展」は「わが國の経済」から「わが國」へと変わりました。つまり経済にとどまらず中國の全てを包括するものとして「質(zhì)の高い発展」が語られることになったというわけです。

　さらに、昨年秋、「新たな質(zhì)の生産力」という新しい言葉を中國指導(dǎo)者が提起した。中國指導(dǎo)者が招集した「新時代の東北全面振興推進(jìn)座談會」において、新エネルギー、新素材、先進(jìn)製造、電子情報(bào)などの戦略的新興産業(yè)を積極的に育成し、未來産業(yè)を積極的に育成して、新たな質(zhì)の生産力の形成を加速し、発展の新たな原動力を強(qiáng)化する必要性が強(qiáng)調(diào)されたと新華社が伝えました。

　ここにも生産力を高めるためにひたすら注力してきた従來の「生産力」からさらに一段段階を登り、生産力の新たな高みを目指す時代に中國が立ち至ったことが見て取れます。つまり、「質(zhì)の高い発展」を支えていく「新たな質(zhì)の生産力」を開き、構(gòu)築していくことで、新時代における中國の特色ある社會主義を力強(qiáng)くけん引する動力としていくことを提示したということです。これは同時に、「高い段階の社會主義」に進(jìn)む上で重要になる「新たな生産関係」、すなわち、中國社會の新しい姿を創(chuàng)り出すことにつながるものでしょう。

　昨年末開催された中央経済活動會議において、「來年（24年）は質(zhì)の高い発展の推進(jìn)を巡り、重點(diǎn)を際立たせ、鍵を握り、経済運(yùn)営に著実に取り組まなければならない」として、科學(xué)技術(shù)イノベーションで近代産業(yè)システム構(gòu)築をリードすることや國內(nèi)需要の拡大に力を入れることなど９項(xiàng)目にわたって政策課題について微に入り細(xì)をうがつ提起をしています。まさに中國の新たな未來を予感させるものと言えます。

　このように考察を深めていくと、「質(zhì)の高い発展」とは、これから中國が歩む道の全てを大きく包み込む、あるいは隅々まで網(wǎng)羅する重要な概念だということが分かってきました。そして、中國の現(xiàn)在と未來について大きく視界が開けていくことを?qū)g感します。今回は、筆者の認(rèn)識の一端を申し述べたにすぎず、「質(zhì)の高い発展」についてのほんの端緒というべき考察にとどまりますが、今後読者の皆さんと共に、「質(zhì)の高い発展」についてさらに考察を深め、中國についての理解、認(rèn)識を一層実りあるものにしていきたいと考えます。

　「人民中國インターネット版」2024年3月5日