日中関係に関する研究はたくさん存在するが、ヨーロッパの學者による研究はかなり少ない。これはおそらく地縁的な問題もかかわっているのだろう。かつて日本の金融界で活躍し、東京大學や慶応大學で教鞭をとった経験のあるパリ政治學院教授のクロード?メイヤー氏は特例といえるだろう。メイヤー教授は世界のビジネスや學界に攜わり、グローバルな文化背景をもつ人物である。メイヤー教授のアジア問題に関する論文は常にフランスや世界からの注目を浴びている。今回はメイヤー教授の著書『アジアのリーダーになるのは中國か日本か』を取り上げてみたいと思う。
『アジアのリーダーになるのは中國か日本か』は主に、未來のアジア共同體の中で、中國と日本がどのような役割を擔うのかについて解説し、日中両國の強みと弱みを客観的に論じたものである。メイヤー氏は同書の中で、両國の過去30年における成長過程を「龍の覚醒」、「相撲の強靭性」と形容した。
周知の通り、二千年以上に渡る日中交流史において、中國人の「日本観」は「東夷観」から脫卻できておらず、一方、日本人の「中國観」には中國の盛衰に伴う明らかな「実用主義」の特徴が現れている。