第14回世界水泳選手権大會の開幕式に出席する郭晶晶さん
身分証明書を胸にぶら下げ、ごく普通のしま模様のTシャツに、カジュアルなジーンズの短パン……。選手スタンドに視線をやっても、よほど目を凝さなければ、郭晶晶さんの姿はたやすく見落としてしまう。とはいえ、第14回世界水泳選手権大會の開幕式でカメラにとらえられた華やかな姿のスナップにしても、ボーイフレンドと開幕式前日に出席した上海市政府主催の歓迎レセプションにしても、引退して1年余りになる郭さんはメディアが視線を寄せる焦點だった。筆者が昨日、選手が送迎バスに乗る場所でこの飛び込みの前“ナンバーワン”が來るのを待っていると、テレビ朝日から來た同業の記者が郭さんを“追っかけ”している姿を目撃した。
「こんにちは、日本の記者です。初めまして」。郭さんが代表チームのメンバーと一緒にバスで飛び込み會場を離れようとしたとき突然、前方から息を切らせながら背の高い男性が走りこみ、彼女に手を差し出すと、流暢ではない中國語で自己紹介。「ほんとに? こんにちは、こんにちは」。彼女はまず失禮のないようこの年上の記者と握手し、その後ろにいる同僚が、ビデオカメラを回しているのに気づいた。
「きのう、開幕式を見て、どうでした?」「とても良かったわ」「いましがた見た試合について、感想は」「非常に素晴らしかった。中國チームは力を発揮しました、Good!」。記者が分からないのでないかと思い、彼女は英語を交えながら、カメラに向け親指を突きたてた。最近の生活について聞かれると、「主に休息。時間があれば水泳、健康づくりです」。選手用バスの乗り場まで100メートル足らず。そこに行くまで、2人の日本人記者に挾まれた郭さんは、それでも彼らに合わせるように歩きながら雑談。ただ、周りでずっと聞こえていた「急がなければ、バスが來ているわ」という聲で、會話のリズムは斷たれた。それでも、記者たちは自分たちのつたない中國語はお構いなし、他の人が止めるのもものともせず、少しでもすきがあれば質問をぶつけてきた。