中國網:子どもたちの表情が目に浮かぶようです。ソーラーのほかにもセラミックナイフが中國では有名ですね。御社は昨年、日本の楽天が中國のポータルサイト百度の傘下で運営する「楽酷天」に出店されました。反応はいかがですか?
後藤:弊社では中國で人気のセラミックナイフやキッチン用品を中心に展開しています。弊社のセラミックナイフは日本のお土産人気商品のベスト10に入るほど、その人気の高さは折り紙付きですよ。セラミックナイフはネット販売以外に現在100店の店舗販売を行っています。本物の良さをぜひ知ってほしいですね。
中國網:中國での今後の事業展開について伺います。注目している中國の地方、事業分野がありましたら、教えてください。特に中國中西部へのご興味、上昇し続ける中國の人件費への対策はどのようにお考えでしょうか?
粕山部長:たしかに第11次5カ年計畫以來、中國の最低賃金はここ數年で3倍以上急上昇しています。地方の工場では以前よりも求人がしにくくなっていることも聞きますし、若い世代が二次産業から三次産業へ流れていくことはどこの國でも同じですね。ですが、弊社では、給料だけでは計れない、「誇れる會社、誇れるコミュニティ」に屬するという生きがいが得られると自負しています。
中國網:日本の企業の中には、アジア、なかんずく中國市場に活路を見出そうとしているところが多いといいますが、日本企業が中國ビジネスをする上で気をつけるべきことはなんでしょうか?
後藤:日本は確かに絶対的な経済人口が減っていくという傾向が顕著です。若い世代が少なくなるということは、家も、家電も、車も買う人が少なくなるということです。もちろん、中國はそういう意味で巨大な市場であることは確かですが、日本でうまくいかないからといって、中國に來れば魔法のようにうまくいくということはあり得ません。安かろう、悪かろうという製品では、日本の人件費を考えると到底太刀打ちはできない。しかし、日本には誇るべき技術があります。世界中探しても日本にしか作れないモノがあります。
私は京都生まれの京都育ちですが、日本ほどおもてなしの心が行き屆いている國はありません。磨きぬかれた特殊な技術力とおもてなしの心は、世界中に通用する。そう信じています。
中國網:本日はありがとうございました。
オフィスにかけられた稲盛名譽會長の「敬天愛人」という文字が、印象に殘った。京都人だという後藤総経理の上品な語り口、中國事情に精通した粕山部長の朗らかな笑顔から、半導體やセラミック、ソーラーなどのハイテク機器を扱うグローバル企業でありながら、脈々と溫かな「人のため、世のため」のものづくりの精神が流れているのを感じた。
普段は上海で生活されているという後藤総経理は、中國にいらっしゃる前はシンガポールを中心にインド、東南アジアなどで事業展開されていたそうだ。ご自身が幼い頃の高度経済成長の日本よりも、激しい勢いを今の中國に感じるという。その激しさの中で、今の中國の経営者も、人々も精神的支柱を探していると感じると。京セラフィロソフィの中にそのヒントが隠されているのかもしれない。
「中國網日本語版(チャイナネット)」2012年3月5日