15日に伝えられた「月で綿花が発芽した」という情報は、多くの人を歓喜させた。中國科學院國家天文臺の鄭永春研究員は、「この寒い冬、地球に月の春の情報が伝えられ、溫もりを感じさせた」と話した。
今回、嫦娥4號生物科學普及実験はじゃがいも、シロイヌナズナ、アブラナ、綿花の4種類を搭載。鄭永春氏は、これらを選択したのは、未來の人類の月での生存に関わるためだと説明。うち、じゃがいもは栄養価が高く、宇宙での生活において最も重要な食物源になる。
昔から、月探査は人類の夢である。月での生活について、「まだ現実感がない」という人もいるだろう。生活できる見込みがなくても、月探査プロジェクトは庶民の日常生活にどのような価値があるのだろうか。全國空間探測技術チーフ広報専門家 の龐之浩氏は、「実は多くの人が知らない。即席麺のかやく、キシリトール、エアクッションシューズなどの生活でよく目にする物も月探査プロジェクトが元となっている」と話す。
熱交換技術 北京地下鉄に使用
都市部の住民にとって、地下鉄は普段の外出に欠かせない重要な乗り物である。北京地下鉄9號線の郭公荘駅は、外が寒い時でも構內は溫かい。龐之浩氏は、「郭公荘駅のエアコンシステムは北京衛星製造工場の‘神舟北極’高効率集成冷凍ステーションを使用している」と紹介した。
龐之浩氏によると、月の晝夜の溫度差は數百度に達し、嫦娥3號が搭載する各種機器の正常な作業を保証するには強大な熱交換システムが必要である。そのため、科學研究員は二相流體ループ技術を開発した。その役割はエアコンと同じで、嫦娥3號が月の熱すぎる晝と極寒の夜に耐えられるようサポートする。これを基礎に、高効率集成冷凍ステーションを形成。省エネ効果はエアコンより高く、年間運用効率は20~50%向上し、敷地面積を3分の1以上節約、現場建設周期を5分の4短縮するほか、メンテナンスと輸送に便利で、耐用年數も長い。
地下鉄の運行には3本のレールが必要で、2本のレールのほかに1本の給電用レールがあり、列車にエネルギーを提供している。以前、給電用レールの生産技術は國外企業に占領されていた。北京衛星製造工場は航宙機の精密成形と自動溶接技術を使い、「神舟北極」鋼アルミ複合レールを開発し、國外企業による市場獨占を打破した。低炭素鋼の給電用レールと比べて、鋼アルミ複合の給電用レールは電流収集條件を改善し、機械の摩耗と電解腐食を減らし、経済効果が高いなどの利點がある。すでに全國の多くの都市の地下鉄に応用されているという。