■都市にはエンタメが必要
周 起業について非常に大事な話を聞かせていただきました。続いてエンターテイメントについて伺います。アメリカのデトロイト市に地域調査に行ったところ、デトロイトは戦爭直後のごとき退廃ぶりでした。ところが、中心部にあるスポーツ施設、劇場あるいはライブ施設には大勢の観客が集まる。都市が退廃しても周辺の地域から人々がエンタメ施設利用のために訪れる。これを見て、エンタメの力を感じた。デトロイトの復興はエンタメ、さらに大學と醫療をベースに展開していくでしょう。
ニューヨークへは、私はボストンにいた2年間よく通っていまして、世界都市としてのコアがエンターテイメントになっている。それにつられて世界中から観光客が來る。ですので、東京もおそらく今後そうした方向に変わる。東京は確かにたくさん素晴らしいエンタメがあるけれども、ただし地域ごとに詳細に見ると、例えば國分寺にはエンタメの場所は見當たらない。映畫館もない。國分寺を議論していくにはエンタメも考えなくてはならないと思う。
白井 そうですか。學生さんがたくさん往來する素晴らしい街なのにね。
周 國分寺駅2キロ圏には東京経済大學、東京學蕓大學、東京農工大學があり、周辺にはさらに津田塾大學、白梅學園大學、武蔵野美術大學、一橋大學、亜細亜大學、嘉悅大學などがあります。中央線沿線に広げればより多くの大學があります。世界的に見てもこれほど若者に恵まれた立地はなかなかありません。問題は、そのような立地に見合ったエンタメの施設が殆どないことです。
白井 國分寺に映畫館を作ることを考えた場合、新宿や渋谷のTOHOシネマのように、例えば8階建ビルの上階をシネコンにし、下階を飲食店やショッピングエリアにする。中國の戦略は非常にこれに近く、中國が今世界一のスクリーン數を持っており、ほとんどがビルの中です。集客効果を上げています。中國は最新の地方都市の計畫にこれが入るところが多い。
映畫を見る場合、TVや攜帯、パソコン畫面であれば、話の途中で自由に止めてトイレに行きご飯も食べられる。映畫館なら2時間大きな環境の中で座って見続け、トイレに行ったら話がわからなくなる。本當の感動を得るためにはやはり映畫館で見たい。
同じ作品を見ても、感動の仕方がインターネットの動畫やライブ配信と、ナマのライブでは感動が全然違う。
エンタメは生活になくてはならないものです。動畫と映畫とをうまくコラボできるといいですね。集積地も作りつつ、映畫を見る環境、ライブが見易い場所をもっと開発していく必要を感じます。