文=奧井禮喜
経済活性化への期待がこもごも述べられる。概観すれば國內(nèi)経済は供給過多という狀態(tài)になっており、よほど人々のライフスタイルが変わらない限り経済成長が大きく伸びるなんてことはない。
世界のGDPは63兆ドル(2010)、各國のシェアでみると、米國22.2%、中國8.9%、日本8.7%、獨國5.1%、印度2.7%と、中印両人口大國の善戦健闘が著しい。
両國はじめ途上國経済が活発になったのは、かつて世界の15%程度の人口を擁する先進國が経済成長を謳歌したのだが、いまや85%の國々にシェアしつつあるわけで、結(jié)構(gòu)なことである。
それでもまだまだ10億人もの人々が十分な経済的恩恵にあずからず苦しい日々を送っておられるわけで、わが國において「追いつかれる」の、「負けてしまう」のというような気風を引き起こすべきではない。
それはともかくとして、私は、わが國においては、もっと働き方、會社からいえば働かせ方に心を砕いて、活力ある職場風土を育てるべきだと言いたい。悲観論が支配するようではそもそも活力が出てこない。
敗戦後、わが國の人事管理は、再出発というよりもまったく新しく出発したのである。なぜならば、戦前は封建思想が強くあり、「働かせてやる」というような労務(wù)管理であった。さらに戦時中には軍部が工場などに介入して、労務(wù)管理とはいえないような不具合が少なくなかった。
だから、松下幸之助さん(1894?1989)が「製品を作る前に人を作る」と述べられたのは、まだ生涯教育などの考え方がない當時、教育基本法とも気脈を通ずるものでまことに卓見だった。