資料寫真:中國の高速列車
インドを訪問した安倍首相は、モディ首相のハイグレードの外交的もてなしを受けた。両國首脳にとっての10回目の會合となった。(文:張敬偉。察哈爾學會上級研究員、中國人民大學重陽金融研究院客員研究員)
日印関係が良好であることのキーポイントは「第三者」にある。はっきり言えば、日本とインドは、中日印の「三國志演義」を演じ、孫権?劉備が合同して曹操に対抗したという地政學的?地経學的ゲームを展開しているのである。今回の安倍首相のインド訪問では、雙方の協力の重點として第一に高速鉄道プロジェクト、第二に「アジア?アフリカ成長回廊」(AAGC)の共同建設が取り上げられた。この2つの協力プロジェクトが中國を意識していることは明白だ。
中國の高速鉄道技術は、世界最長の高速鉄道運行ネットワークを誇っている。さらに中國高速鉄道には、技術の安定、コストの低さ、運行速度の速さという3つの大きな強みがある。東南アジアからその他の地域にかけて、中日両國は、高速鉄道市場をめぐる爭奪戦を全面的に展開している。東南アジアのインドネシアなどの地では、所在國は往々にして中日両國の間で利害をはかり、中日両國がいずれも分け前にあずかる契約によって、所在國に見える形での良性の競爭を形成しようとの努力がなされてきた。
インドでは毎日2200萬人が列車に乗る。インドの地域と人間の流れを考えれば、中國の高速鉄道技術を選ぶのがふさわしい。だがモディは高速鉄道の契約を日本に渡した。今回の安倍首相の訪印の目的の一つは、モディの故郷のアーメダバードとムンバイを結ぶ高速鉄道プロジェクトの起工式に出席することだった。この高速鉄道は2023年に開通の予定で、所要時間は現在の8時間から2時間に短縮される。この計畫からわかる通り、この高速鉄道は建設周期が長いだけでなく、中國の高速鉄道の速度と比べれば、「旅客専用線」の水準(時速250キロメートル)にすぎない。インドが日本の新幹線を選んだのは、日本が元手を割ることを惜しまず、65年の低金利の融資(金利わずか0.1%)を提供したためと言われる。日本が損を覚悟の取引をしたのは、インドのその他の6本の高速鉄道の契約をとりつけたいためだ。